木を見て森も見よ(大学院の会計の授業を受けての感想)

【注意】これはポエムです。

2017年度のS1タームに経済学研究科で開講されていた入門レベルの企業会計の授業を受けてきました。自分なりに面白かったのでその感想をつらつら書いていきます。

1. 会計は意外と演繹的

会計は多くの仕訳を覚えていくだけで面白いのかなあと思っていたこともありました。

実際そういう側面があることは否めないのですが、大学院の授業ということで各仕訳が採用されている趣旨も授業で取扱いました。またそれらの仕訳の趣旨が場当たり的なものではなく、発生、実現、対応の3原則や保守主義などの会計的な原則や主義に基づいていることを知りました。その意味で会計は意外と演繹的なのだと思いました。

2. 会計は「伝える」ことが目的

会計というと金勘定のイメージが強いかもしれません。

しかし国際標準の会計基準であるIFRS(International Financial Reporting Standards、国際財務報告基準)で、「財務報告」という言葉が使われていることからも分かるように、会計(財務会計)の目的は投資家や利害関係者に情報を「伝える(報告する)」ことによって適切な投資意思決定や利害調整を行えるようにすることです。

授業でも投資家がその情報を受け取ることによりどのような判断をするかまでを考えて、会計基準について話していたのが印象的でした。

3. 細部が重要

会計は細部が重要です。一般の人が知らないようなアドバンスドな細部が利益を大きく変化させてしまうことがあります。

例えば減損会計は簿記2級の商業会計では扱わないアドバンスドな内容ですが、巨額損失の大部分はこの減損という仕組みに由来していることが多いです。

また最近話題の「のれんの減損」はこの減損会計の応用版として登場します。のれんは日本基準、米国基準、IFRS会計基準の差とも絡んで面倒な論点となっていますが、利益に重大な影響を与えます。

さらに税効果会計も企業行動や利益に大きな影響をおよぼしますが、これもまた簿記2級では出てこない内容です。

このようにアドバンスドな細部が利益に重大な影響を及ぼすことがあり、細かい会計規則とその意味を覚えることも重要となることがあります。

4. システム全体で見ることも大切

ただしいくら細部が大事だからといっても、時にはシステム全体を見なければいけないことも再認識しました。

会計は会計基準だけでなりたっているわけではなく、税務や監査、証券市場の自主規制、投資家の投資リテラシーなどの様々なことがらが絡んでいます。

会計上である問題が起きたときに、会計基準だけでなんとかしようとするのではなく(当然その努力は必要なのですが)、周囲の環境も含めて変えていくことが必要なのではないかと思いました。「木を見て森を見よ」です。

5. 会計は変化する

複式簿記が出来たのは約500年前のことと言われており、会計はそれからあまり変化していないとも言われていたりします。

しかし実際には、時代に応じて会計は断続的に変化していることを理解しました。最近の主な変更として、ほんの10年前に減損会計が導入されたということを知り、意外と変わっていくのだなあと思いました。

将来も情報通信技術の進化やグローバル化の進展によって会計基準や監査、税務などが変化をしていくことになると考えています。

6. 会計は人生を左右する

会計で計算される利益が企業の実力を適切に表すものとなることの重要性を改めて認識しました。企業の価値が大きく評価され過ぎたら…バブルが起きてバブル崩壊後の経済に大きな悪影響を及ぼすでしょう。逆に企業の価値が小さく評価され過ぎたら…不要なリストラが行われ、本来悲しむ必要がなかった従業員や家族の生活を悪化させてしまうかもしれません。このように会計は人生を左右するものであることを強調されていたことが印象に残りました。

まとめ

全体を通じて、自分が受けた大学院の企業会計の授業は面白かったです。財務諸表を作成し監査する側の立場から学ぶ普段の会計士の講義も良いのですが、微妙に異なる視点、つまり基準の作成者や会計情報を利用する人の視点から会計について学ぶことができたのは良かったです。